スギ花粉飛散開始 約2週間前から初期治療が必要
近年、花粉症患者は急増して、全国で約2000万人と推定されています。花粉症の飛散状況が天気予報や紙上の中で報じられるのが
当たり前に感じるなど、花粉症は社会的な関心事、国民病といえる状況になっています。
花粉症は季節限定のアレルゲンで、地域によって多少花粉の飛ぶ時期に違いがあります。スギは2月から4月まで、今年埼玉は昨年の
1.5倍と推測されています。
花粉症、アレルギー性結膜炎は、15分ぐらいで充血やかゆみなどの反応が出てくる即時型(1型)アレルギーで起こります。症状は
かゆみ、異物感、流涙が主で、程度の差があっても両眼に生じることも特徴です。花粉症は外出時に悪化します。くしゃみ、鼻水、
鼻ずまりを伴うことがあります。アレルギー性結膜炎患者の40%にアレルギー性鼻炎、20%にアトピー性皮膚炎の既往があります。
治療は通常点眼薬です。抗アレルギー点眼の最も効果的なのは、花粉が飛散する2週間ぐらい前から点眼し始めることです。
そして、飛散中はずっと点眼し続けることが重要です。抗アレルギー点眼はほとんど副作用が少なく安全に使うことができます。
花粉の量が多い時や症状が強い場合はステロイド点眼を併用します。適切に使えばとても優れた薬ですが、ステロイド過敏症が
子供では50%、大人では30%で眼圧が上がる人がいて、緑内障などの副作用が現れることがあります。2週間以上点眼を継続する
場合は、定期的に通院して眼圧をチェックする必要があります。
昨年から経眼瞼アレルギー性結膜炎の治療薬として眼瞼クリームが発売されました。1日1回目の周りにクリームを塗り眼瞼皮膚から
眼瞼結膜、眼球結膜へ有効成分が持続的に浸透すると考えられています。点眼が嫌いな子供や1日1回の為、学校や会社に点眼を
持ち運ぶことが不便な方に適すると思われます。
花粉症の治療は、薬物療法を主体としたメディカルケアも重要ですが、アレルゲンとしての花粉の回避、除去、つまり花粉を吸いこまない
というセルフケアがさらに重要です。したがって花粉を予防する方法として、花粉の飛散量の予測(前年の夏の気温、日照時間との比較)、
飛散シーズ花粉情報、気候などに注意して外出を避ける、洗顔、うがい、点眼などで体に入る花粉を減らすことです。